KinKi Kidsと音楽の結びつきは深い。硝子の少年でのデビュー以来、40曲連続オリコンチャート1位を獲得するなど、楽曲は多くの人を魅了し続けている。
剛君は、音楽を発信していく気持ちが強いと思う。自分の場合は、音楽は“そこにあるもの”という感覚。
音楽を含め、エンターテイメントの空間をどう構築するかを考えています。(光一)
二人の音楽的な下地を作ったのがLOVE LOVEあいしてるだ。同番組で、光一と剛は吉田拓郎をはじめとする数々のミュージシャンに出会った。
やはり拓郎さんの存在は大きいです。今でも舞台の初日とか、大切なときにメールをくださるんですよ。(光一)
今年でデビュー22周年。12月4日には41枚目のシングル⎡光の気配⎦を発売、
中旬からは2年ぶりとなるドームコンサートを開催する。二人とも音楽に深く関わり、グループだけではなく、
それぞれソロとしてバンドや舞台で才能を発揮している。
キンキは(ジャニーズの中では)特殊なブランドだと思いますね。自分で詞や曲を書いたり、個々で何かを継続してやっているのってここだけだから(剛)
苦難もあった。2017年に剛が突破性難聴を発症。コンサートを休演せざるを得なくなり、今後の活動についてさまざまな臆測が流れたこともあった。
確かに第三者によって作られるイメージや世界はあります。
でも、僕はその中では生きていない。イエスとかノーだけで論じるのではなく、“真ん中”に立つことの方が大切な時がある。
そこから物事が客観的に見えることもある(剛)
言葉から感じるのは、自分たちにできることをやる、これからも⎡やり続ける⎦という強さだ。
二人は気負うことなく、ごく自然に道の真ん中を歩いている。
前作から約1年、12月4日に41枚目のシングル⎡光の気配⎦が発売される。冬の道を照らす陽だまりのような温かみを感じさせるバラードだ。
光一 大人なら誰でも思い当たるような、等身大の気持ちを歌った曲ですね。
今回は声優の坂本真綾さんが作詞してくださったのですが、ちょうど僕らと同世代なんですよ。
だからなのか、KinKi Kidsは“青い”イメージの歌が多くて、歌いながら歌詞の世界観を演じることもあるんですけど、
今回はそのまま素直に歌うことができました。
剛 坂本さんが描いた“人生論”ですよね。詞を書くときは、自分を投影する場合も、しない場合もあるから真意はわかりませんけど。
ただ⎡こんなふうに誰かが悩みを代弁することで救われる人もいるのかな⎦と思いながら、読ませていただきました。
悲しみと未来見つめて
ミュージックビデオは⎡HIKARIver.⎦と⎡KEHAIver.⎦の2本を撮影。⎡HIKARIver.⎦では、広大な海辺にたたずんで歌う2人の姿が、⎡孤独⎦と⎡希望⎦を連想させる。
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光一 声質のせいなのか、僕らが歌うと明るい曲でも暗く聞こえるんです(笑)。でも今回はすごく前向きに歌えた。
光の”気配“ということは、今は暗闇の中にいるという捉え方もできるけど、僕はそうは思わなくて。
周りに目を向ければ、いつでも希望みたいなものが寄り添ってくれているというメッセージ性をかんじました。
剛 この曲は⎡人生⎦を描写したスケールの大きい歌なので、正解がないんですよね。
一方で、僕らの人生というものを考えたときに、今年はジャニーさんが亡くなったこともあって、
胸にぼっかり穴が開いたような大きな悲しみを抱きながらも、これから目の前に広がる世界や未来みたいなものを見つめている姿を何となく想像したんです。
だからMVも、細かく作り込むより⎡空とか海とか大きな空間の中にぼつんと立っているイメージがいいんじゃない?⎦とは提案しました。
光一 砂浜で撮影したんですけど、まあ~風が強くて。ガンガン砂が目に入るし、ハードコンタクトの僕からしたら地獄でしたけどね(笑)。
剛 当日は天候が不安定だったんですよ。でも、光一くんがコンタクトレンズを洗いに現場を離れたときだけ、めっちゃ晴れました。
新曲を携えて、今月14日からは、いよいよドームコンサートが始まる。
今年で21回目となるが昨年は突破性難聴を患う剛の病状を考慮して休演となった。
それから1年、どうすれば⎡今の自分たち⎦のベストなステージをファンに見せられるのか、2人は模索を続けてきた
剛 2年ぶりのステージですからね。耳は、今も治ってはいません。僕自身も病状を完全にコントロールする術もなく、
正直、当日にステージで音を出してみないとわからない部分がとても多いです。
実は、昨年も僕は⎡ライブをやりたい⎦と言ったんですけど、事務所の総合的な判断で休演が決まった。
今の状態でのライブの経験があるのとないのとでは対策も変わりますが、最善を尽くすのみです。
半端は見せたくない
光一 剛の耳のことは、本人以外誰にもわからないことなので、僕も剛もスタッフも、全員が歩み寄らないとライブの実現は難しい。
1年間様子をみて、今年復活することになりましたけど、これまでと同じようなパフォーマンスができるか、正直分からない部分もあります。
一方で⎡トークだけやればいい⎦という意見もあるけど、せっかく楽しみに観に来てくださるファンの方に、中途半端なものは見せたくないという気持ちも強い。だから、⎡僕らが今できるベスト⎦を話し合いながら形にしていく作業を進めています。
剛 ドームコンサートは、デビュー以来ずっとやってきたことですし、やはりステージには立ちたいですよ。
お医者さんも一切耳を使わないのはよくない、と。ただ、コンサートの音量は日常生活のはるか上ですから、難しいことばかりです。
音楽をやる中で生じる苦労や苦悩は、僕は嫌いではないんです。生活の大半が音楽で占められてますから。音楽が好きでなければ、昨年のライブがなくなったときも、⎡休みことも大切だー⎦って思ってたと思います。
1997年に⎡硝子の少年⎦でデビューし、今年で23年目。デビューから40作連続でオリコンチャート1位を獲得するなど、現在に至るまで偉大な記録を打ち立ててきた。だが、⎡数字や記録を意識したことは全くない⎦と口をそろえる。
40代に入り、最近では自身のバンドやミュージカルのフロントマンとして、チームをまとめる機会も増えてきた。
光一 僕は21歳のときから⎡SHOCK⎦というミュージカルをやっていて、途中から脚本や演出もやるようになったのですが、
最初は自分がやりたいことを各セクションに伝えるのが大変でしたね。我々がやっている仕事は、非現実的なことを現実の空間で表現することで、その完成形は自分の頭の中にしかないわけです。だから、最初はイメージをうまく伝えられなくて、結局⎡自分でやります⎦と抱え込んでしまうことも多かった。
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そうなると当然、時間的にも精神的にもどんどん追い込まれてつらくなってしまう。周りに嫌われても自分を貫くことは場合によっては必要だと思うけど、今は周りからの提案を柔軟に受け入れて、任せるようになりました。任せることで、相手も⎡自分を信頼してくれているんだな⎦と思えるんですよね。そういう関係性ができると、すごく強いチームになるんじゃないかな。
今やあるべきことをやる
剛 僕の場合は、まず根底に⎡一人ひとりがいろいろな人生を選択して生きているんだから、
誰かがどうこう言う権利はないし、その人自身が決めるのがいちばんいい⎦という考えがあるんです。だから反対に、相手が自分の考えとは違っていても、⎡違うこと⎦を受け入れてあげられるようでありたいですね。
バンドマンやミュージシャンって、扱いづらいと思われる人が多いんですよ。でも僕は意外と大丈夫。変わっている人がいたら、⎡めちゃめちゃ変わってますねー⎦って本人に言っちゃう(笑)。案外、それで仲良くなれるんやけどなあ。みんな、“猛獣的”な人を排除していっちゃうでしょ。僕は⎡それはかわいそうやん⎦って思います。
KinKi Kidsとしても、ソロアーティストとしても、独自の立ち位置と世界観を築いてきた2人。これからの10年間、どんな道程を歩んでいくのだろうか。
光一 うーん、僕は10代の頃から、あんまり先のことを考えない方でして…。何となく進みたい方向はありますけど、
⎡何歳までにこれをやる!⎦みたいな明確な目標を立てるのが好きじゃないんです。
剛 僕も10年後とか、全くわからないですね。音楽活動はやっているとは思いますけど。
だって10年前に、まさかタッキー(滝沢秀明さん)が副社長になるだなんて、誰も想像してなかったでしょう?(笑)
光一 将来やりたいことより、今やるべきことをやる。例えば舞台なら、お客さんに見せられるクオリティーになるまで、必ず稽古を積み重ねる。
でも、それを本番でどう表現できるか、そしてお客さんがどう感じるかは、自分のコントロールを超えた部分にあるものです。だから、自己完結的には考えない。それだけ周りの人に恵まれてるなとも思うし、チャンスをくれてありがたいなという気持ちもあります。
剛 これからも、僕がジャニーズという場所に対して貢献できることがあるのであれば、
貢献し続けたいと思っています。どういう形であれ、KinKi Kidsは、ずっと続けられたらいいなと思ってる。でも、10年後は僕も50歳でしょう。何してるんでしょうね?
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